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墓じまいにかかる、費用の相場

墓地の撤去費用、なぜ高いの?

複数の作業員を1週間以上雇って家を取り壊すのに200万円くらいなのに、数時間で完了するお墓の撤去工事に何十万円もかかるって、ぼったくりじゃないの?

このようなお問い合わせが最近よくあります。

弊事務所で改葬許可申請手続きをサポートした事例で、石材店からの撤去費の見積もりが50万円以上という事例もありました。
床材に一枚岩を用いていて、搬出時には工具を入れて割るか、通路の手すりを外さなければ通せなかったため、通常より割り増しになったケースや、平地でなく斜面の上にあってクレーン車を入れなければ運び出せないなどのケースです。

家を壊すときの1週間もかかる工事だって200万円くらいで済むのに、家よりずっと小さく、数時間で終わる工事で、どうしてそんなに費用がかかるの?

という声も聞きます。

答えは、「壊すのにかかる人件費だけではないから」です。
墓石は天然石なので、コンクリートに混ぜて再利用することが難しいため、石材店は下請けの産廃業者に頼んで遠方まで運んでもらわなければならなかったりします。

また、良心的な業者であれば、地下のカロート(遺骨を埋蔵していた場所)周辺の土もすべて取り除き、新たな土に入れ替えます。土葬時代の遺骨が混入している可能性があるからだそうです。

このように、住宅の取り壊しとは異なる手間や運搬の費用がかかるために、小さくても費用がそれなりにかさんでしまうようです。

墓じまいにかかる、実費以外の費用

墓じまいの費用というと、もとのお墓が寺墓地にある場合、ほとんどの人が「離檀料」を気になさいます。

娘しかいないのでいずれ墓をしまわなければならないが、お寺に高いことを言われそう…

うちの菩提寺は、法事でも何でも高いことを言うから、墓じまいするときは相当言われるんだろうなぁ…

月に数度は、そういった声を耳にします。

しかし、誤解も多いようです。

〝離檀料〟は要らない。必要なのは、閉眼供養のお布施

まず、〝離檀料〟という名目で金銭を支払う必要はない、と私は考えています(※)。
檀家をやめるのに手切れ金を払わなければいけないようでは、憲法20条の「信教の自由」に反します。

しかし、墓石には開眼のとき御魂を入れていただいていますから(浄土真宗以外)、そのままで産業廃棄物にするのは、撤去する石材店の人だって嫌がります。

だから、墓じまいをするなら和尚さんに閉眼供養をお願いし、読経していただく必要があります。
御魂を抜くための読経だけなら3万~5万円くらいでやってくださることが多いですが、永年お墓を守ってきていただいたのですから、和尚さんとの関係が悪くないがやむをえず墓じまいをするのであれば、お礼の気持ちを込めて従来の回忌法要でお包みしていた金額の数回分程度をお納めするのがよいのではないかと思います(閉眼供養をしない浄土真宗の場合も、お礼の気持ちはお渡しするのがよいでしょう)。
法事のとき数万円お包みするご家庭なら10万円前後。
いつも10万くらいお包みされているご家庭なら、数十万円(上限はありませんので、やむなく墓じまいするけれどお寺を応援したい気持ちがあれば、もっとお布施しても構いません)という感じでしょうか。

むろん、自由なお礼の気持ちですから、寺檀関係がよくない場合(和尚さんに感謝できないような場合)には、撤去費用+最低限のお布施(数万円)でもしかたがないと思います。

※「離檀料」という名目でも、閉眼供養のお布施と合葬後の供養についてのお礼として10万円程度を定めているだけのお寺もあります。この場合は〝法外な要求〟とはいえないので、よほどの理由がない限りは従いましょう。

寺格が高いから、去るときのお礼も高いとは限らない!

修繕費の寄附依頼などは、寺の規模が大きかったり、寺格が高かったりすれば、それなりに高額になります。

家族規模で運営されている町や村のお寺と較べ、修行僧が何人もいらっしゃるような中規模のお寺は、構造物としての大きさもありますし、不特定多数の人が参拝に来ますので、安全面に配慮し、防火や耐震に費用をかけなければならないからです。

しかし、墓じまいとなると事情は異なります。

地域で名の通った中規模寺院は、昨今でも墓を求める人が絶えないので、「墓じまいをしたい」と切り出しても引き留めることもなく、「どうぞどうぞ」と受諾してもらえる場合がほとんどです。墓を建てたくても空きがないので、待機している人が大勢いらっしゃるからです。

ある宗派の本山では、「墓じまい(離檀)のお布施は何百万と言われるのだろう……」と戦々恐々と相談にみえた檀家さんがいらっしゃいましたが、「昨今はそういう話がよくありますから。50万円でいいですよ」とあっさり定額を言われてしまいました。
同じ宗派の地方寺院の状況をみている私としては、「本山がそんなに安く言ってしまっては、地方の末寺はそれより高く言いづらくなってしまう。人口が減るいっぽうの地域にある寺は生き残れなくなってしまうではないか」と、むしろ軽い憤りすらおぼえたくらいです。

本山のような大規模寺院は、数年ごとに人事が交代します。彼らは給与をきちんともらえればそれでよく、寺に入ってくるお金が高かろうが安かろうが、さして気にも留めないわけです。

というわけで、むしろ簡単に撤去させてくれない話が多いのは、墓じまいが起きたらそのあとの補充はない、という人口減少エリアのお寺のほうなのです。

墓じまい(離檀)の話を切り出すときのコツ

墓じまいの話を切り出すときは、そう決心せざるをえなかった事情からお話ししましょう。
可能であれば、いきなり離檀を含めた話にするのではなく、数年計画で少しずつ進めることを考えます。

娘しかいないので、将来お墓をどうしたものかと思っていまして……

など、〝お墓についての相談〟という形で切り出しましょう。

もしかすると、そのお寺でも納骨堂や永代供養墓の建設を予定しているかもしれません。継ぐ人がおらず先祖代々の墓を片付けなければならないとしても、お寺に永代供養墓ができれば、離檀はせずに先祖とともにそこへ眠るという選択肢も出てきます。

また、死後事務委任をお寺に依頼し、人生の最後までおつきあいし、墓じまいは生前予約でお寺に委託してしまうという方法もあります。

都市部の納骨堂に移りたいなどの事情があり、どうしてもお寺とのつきあいそのものをやめなければならない場合は、「閉眼供養のお礼をそれなりにお包みする気持ちがある」ということや、撤去費用の実費は支払う用意があるということを、きちんと伝えましょう。そのようにお話ししてゆけば、離檀料という言葉はそもそも出てくることがないはずです。

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