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宗教法人に意匠(デザイン)が必須な理由

信徒でない人が目を留めるデザイン

2020年現在。多くのお寺の寺報は、いまだ昭和の頃と同じ縦書きフォーマットで発行されています。

また、お寺で配布される印刷物は、余白がほとんどなく文字で埋め尽くされていることが少なくありません。

いま高齢の檀信徒はぎりぎり読んでくれているのかもしれませんが、横書きに慣れた現役世代は、果たして読んでくれるのでしょうか。

こちらは、浄土宗山形教区で知人僧侶が作成した掲示物です。

新型コロナ感染拡大防止のため、教区の各寺院にこれを配ろうと思うんです

とご相談がありました。

宗教に関心のない人が読んでくれないと「教化」にならない

はじめは左の「三業」を、文字だけの箇条書きにしたものでした。

ざっくばらんにお話しくださるご住職だったので、私も遠慮なしに率直なところを申し上げました。

文字だけだと、すでに檀信徒になられているかたしかお読みにならないと思うんです。
お寺を訪れた小中学生や、法要等に列席しただけの、まだそのお寺のファンになっていない人にも目につき、読んでいただけるようにするには、LINE風に吹き出しにしてみるとか、イラストを入れるとかしてみたらいかがでしょう?

結果、わずか数週間で、上のすばらしい掲示物ができあがってきました。

イラストやデザインに詳しい法類さん(同じ宗派の僧侶)がいらしたので、相談したらすぐに画いてくれたのだそうです。

悩みを抱えうつむいた人が目を留めるデザイン

宗教は、社会のあたりまえから少しハズれたものの見かたへ〝思考をスイッチさせるもの〟だと思います。

いつもと違う視点でものごとを見るから、悩みを祓い落とすことができたり、クヨクヨがやんだりするのです。

幸せいっぱいで上を向いて歩いている人ではなく、落ち込んで、下を向いて歩いている人に目を留めてもらうとき、もっとも本領を発揮するのだといえます。

重い悩みを抱え、先行きが見えず欝々としている人が、文字でいっぱいになった印刷物に目を留めるでしょうか。

苦しい思いで明日をも生きられない気持ちでいる人を、ハッと振り向かせ、救いの手につなげてゆくには、すがすがしく、明るく、目を引くデザイン(意匠)が必須なのです。

人脈を活用すれば、お寺の意匠は改善できる

浄土宗山形教区の事例は、近しい僧侶仲間にイラストやデザインを扱えるかたがいらしたという幸運な話でした。

お坊さんは多彩なかたが多いので、宗派の制作物であれば、声をかければ適任者が容易にみつかるでしょう。

個々のお寺の制作物でも、檀信徒さんに呼びかければ、デザインの仕事を得意としている人は見つかるかもしれません。「孫が美大生」という人もいるでしょう。

〝伝えたい〟という気持ちがデザインに反映される

出雲大社埼玉分院(大教会)では、新社殿の建立とともに、デザインも一新しました。

リンク先記事のとおり、クリエイティブディレクターやアートディレクター/デザイナーを起用しての試みですが、評判はすこぶるよいそうです。

出雲大社埼玉分院の渡邉忠道神職は、「伝えたい」という気持ちをお持ちのかたです。

クリエイティブディレクターを起用したといっても、大枚をはたいて丸投げで依頼したのではありません。

あくまでご縁で心に響いたかたに(ある日ラジオを聴いていて、山田遊さんを知ったそうです)、建立にあたってのお気持ちを熱心に伝えてお願いをしたと聞きました。

また、浄土宗山形教区のポスターを制作した日野住職も、「まだお寺のファンになっていない人に伝える」ということを瞬時にのみこんでくださり、デザインをしてくださる法類僧侶のかたに適切に熱意をお伝えになったから、できあがったことと思います。

「格好良くしなければ」ではなく、「1人でも多くのかたに、お伝えしたい」という熱意が重要と考えます。

お金ではないお布施で、お寺改革を

コロナ不況で、お布施は満足にできないけれど、技術の提供ならできる! という人は大勢いらっしゃると思います。

周囲にお声をかければ、案外容易に協力者があらわれるのではないでしょうか。

檀信徒のお子さま、お孫さまで腕におぼえのある人なら「わが家のお墓があるお寺の役に立つなら」と、デザイン提供してくれるかもしれません。

お彼岸やお盆に合わせ、「お寺のロゴマークを募集します」といったキャンペーンをしてみてもよいでしょう。

「お墓のあるお寺と、もっと接点をもってみたい」と感じている人はけっこう多いものです。
お寺の側から、デザイン提供などの声かけがあれば、お寺を身近に感じてもらうよい契機にできます。

AdobeとCanvaとIbispaint

絵心をお持ちのご住職であれば、Adobe製品を揃えることで、Wordだけで制作していた印刷物を、ワンランクどころかプロ仕様にランクアップさせることも可能です。じっさい、Adobe製品を使いこなしていらっしゃる僧侶は私の周囲に数人いらっしゃいます。余談ですが、このウェブサイトのアイコンや、ひとなみサイトのアイコンも、Adobe Illustratorで自作しています。

Adobe製品は、高額ゆえに「プロが使うものだ」と思われがちですが、実際使ってみると、違いました。〝プロではないが多少の絵心のある人が、プロ並みの仕上げにできるための道具〟だったのです。

使いこなすのが難しいようにも思えますが、Adobeの20種類以上のアプリが使えるサブスクリプションに申し込めば、随時、オンラインで参加できる無料講座で使いかたの基本をひととおり学ぶことができます。

「Adobeは高額だし敷居が高い」という場合は、ブラウザ上でも使うことのできるオーストラリア製のCanvaというアプリをお勧めします。チラシや寺報(ニューズレター)、SNS投稿作品などを簡単にきれいにつくりあげることができます。枠飾りやイラストは、無料素材サイトから自由にアップロードすることができます。

ご自身でイラストを描画できるかたには、Ibispaintという日本製のアプリケーションがオススメです。癖がなく、レイヤー操作も無制限にでき、イラスト風、水彩画風から油彩風まで、ブラシの種類も豊富に揃っています。広告を消すには千円強で買い取ればよく、サーバー上にたくさんの作品を保存したければ、サブスクリプション(年間3000円台、2023年現在)の有料会員になる方法があります。いずれにしても、Adobeの1割くらいの金額で使うことができます。

CanvaもIbispaintも、YouTubeなどで検索すれば、使いかた指南動画がたくさん出ています。

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