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公正証書遺言作成。士業を通さないと、どんな問題が起こる?

公証役場は無料で相談に応じてくれます

公証役場は、「役場」とついていますし書類作成前の相談だけなら何度行っても無料です。
士業を通さず、公証役場に直接依頼をして、公正証書遺言を作成することはもちろん可能です。

だったらなぜ、10万円前後(ご資産内容や複雑さによってはそれ以上)も支払って、士業を間に入れる人が多いのでしょうか。

この記事では、その理由や、士業を通さなかったばかりに生じてしまった問題点の事例をわかりやすく説明したいと思います。

公証人の話す専門用語が理解しづらい

公証人は、元裁判官や元検事など、法律専門職として、弁護士などの法律専門職を相手に長年仕事をされてきたかたが就任しています。
したがって、法律専門用語を一般の人にわかるような言葉に置き換えず、そのままお話しされるかたが多いです。

下手に一般表現に置き換えてしまった場合に、遺言者本人と公証人との間で用語の認識にズレがあると、間違った内容の遺言になってしまうおそれもあるため、誤解を避けるために、あえて用語の置き換えを嫌うかたもいらっしゃいます。

つまり、法学部出身者程度に法律の基礎知識がないと、話の内容を理解することが難しいと思われます。

よくわからないまま、「じゃあそれでお願いします」と言ってしまい、思っていた内容とかなりかけ離れた内容の遺言になっていることに気づき、こんどは士業を通して公正証書遺言をつくり直されたかたもいらっしゃいます。

ひな型通りになるので、いざ相続のときトラブルになることも

公証役場には、もちろん遺言のテンプレートがあります。一般のかたがご相談にいらした場合、たいていはそのひな型をべースとして、預金通帳の種類や不動産の内容を置き換えていきます。

「誰に、何をあげる」ということが決まっているのでしたら、それで問題は起こらないかもしれません。

しかし、公証人によっては、遺留分を侵害しているケースでもそのまま作成するかたもあり、じっさいに相続が起こってからトラブルになるケースもあります。

逆に、法定相続人である子のうち、ひとりにだけ多大な学費を払っていたり、ひとりにだけ住宅を建てるとき支援していたりで、「特定の子には0にして、ほかの子に等分にしたい。子たちの間でも、それで承諾がとれている」という場合でも、その特定の子の相続分をなしにしている理由を聞かれないまま、「遺留分というのがあるから、0にはできないんですよ」と、不本意ながらある程度はその特定の子にも遺す内容で押し切られてしまったという人もいました。

遺言執行者の指定がないと、有用でなくなる心配も

ご自身で公正役場に出向いて公正証書遺言を作成される場合、「執行者」まで指定されるかたは少ないと思います。

執行者とは、遺言の内容を実現してくれる人です。
この執行者を指定しておかないと、せっかく遺言をしてあっても、その存在に気づかれないまま法定相続人が「遺産分割協議」をして、まったく違う内容で相続が済んでしまうこともありえます。

身近な人に執行者をお願いし、公正証書遺言の謄本を預かっておいてもらえば、その心配もありません。
ただ、知人や甥姪などに執行者を頼んだとして、「執行者は何をすればよいのか?」ということがわからないと、重荷になりますし、ほんとうに実行してもらえるのかもあやしくなってしまいます。

士業者を間に入れれば、執行者に入ってもらうことも可能ですし、遺言の内容が実現されないという事態にはなりづらいといえます。

士業に頼むと、個別の背景に対応した柔軟な内容に

弊事務所でサポートする場合、「よく夫婦で一緒に旅行に行っている」というかたならば「同時死亡を想定した予備的遺言」を条文に加えるようおすすめし、ご理解いただいた場合には原稿に含めるようにしています。

法定相続人間で、法定相続分のルールとはだいぶ違う分けかたとなる場合、そうなる背景をよくお聞きし、必要と思われる場合には「付言(ふげん。この遺言の内容にした気持ちを表す付け足しの手紙)」をつけていただいて、のちのトラブルを極力避けられるよう配慮します。

また、葬式やお墓のことを盛り込みたくても、公証人からは「遺言に書いても、葬儀や納骨が終わった頃にしか見られないから意味がない」、「財産に関わることしか盛り込めない」と言われてしまうことが多いと思います。

しかし、たとえばお寺に墓をお持ちで、頼れる親族が少ないかたの場合、菩提寺にもご理解いただいたうえ、幾ばくかを寺へも寄進する内容の遺言にしていただき(あるいは通夜葬儀のお布施を生前にお納めしておき)、住職に執行者に加わっていただくなどの工夫をすれば、ご葬儀やお墓のことも含める内容にすることは可能です。

お寺の住職が執行者であれば、葬儀が終わってから気がつく、ということにはなりようがありません。
とはいえこの場合も、「執行者は何をする役割なのか」をしっかりとご説明しないと受けてはもらえないと思いますし、士業者が同時に執行者に就任している、と言わないと、お寺さまも多忙なのでなかなか承諾していただけないように思います。

【まとめ】士業の報酬は、相続時に想定されるトラブル回避のアドバイス料

ご遺言の内容をご自身で決めてあり、その分けかたにした場合に生じる遺留分をはじめとするさまざまな問題についてもすべて把握なさっているのであれば、ご自身で公証役場にアポイントメントをとり、相談しながら公正証書遺言の文案を作成してもらうのもよいでしょう。

しかし、士業に依頼すれば、過去にトラブルになった多くの事例を活用し、〝そうならないための方策〟を入れ込んだ内容を実現できます。

遺言をなさる主目的は、相続時のトラブルを回避することだと思います。
士業報酬を節約してご自身で公正証書遺言を作成しても、遺産をもらう人が遺留分請求などの面倒に巻き込まれてしまったり、予備的遺言がなかったために、あげる予定の人が先に他界していて意味のない遺言になってしまったりするようでは、たとえ安く作成できても、意味がなくなってしまいます。

信託銀行で遺言信託すれば、ほぼひな型通りの内容でも100万円前後かかります。
士業者に10万円前後ないし数10万円を支払って作成サポートしてもらうことは、けして高い買い物ではないといえます。

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