葬祭カウンセラーの特定行政書士が生きがい導く
こちらOK行政書士事務所
マナーモードで着信。料金当方負担で折り返します

信託銀行などの遺言信託は、どんな人に向いているのか

遺言信託は、ほぼ銀行指定のひな型どおりになる

遺言信託では、信託銀行が用意した所定の遺言フォーマットをもとに作成されます。差し替えられるのはご遺産の内容や、遺贈する相手方の部分であり、争いを極力避けるために、「何を、誰にあげる」というストレートな内容になります。付言(遺言した思いを綴る、メッセージの部分)をつけることも好まれない場合があると聞きます。

作成費用はご資産内容や分けたい相手の人数などにより増減しますが、作成されたかたにうかがうと、100万円前後かかる場合が多いようです。

遺言執行は、銀行と提携している司法書士などに一任されるため、お知り合いに士業がいても執行だけを知人に頼むことは難しくなりがちです。

遺言信託が向いているケース

遺言信託は、メガバンク系列の信託銀行などが受け皿となってくれますので、大震災や戦乱などで指定していた執行者が行方不明となるような心配は、個人の士業事務所に依頼するよりも少なくなります。

ご資産が潤沢で、内容があまり複雑でないケース(法定相続人が数名のみ、特定の法人に全財産を遺贈したいなど)であり、ひな型ベースであっても問題がない場合は、遺言信託を利用されるのもよいかもしれません。

ただし、弊事務所をはじめ個人の士業事務所の場合でも、それぞれの士業者は地域の単位会に所属しています。ほとんどの士業者は公正証書遺言作成のさい、万が一のときの復代理を可能とする条項を加えているはずですので、該当する単位会(東京都行政書士会板橋支部、など)へ連絡し、執行者と連絡がとれない旨をお伝えになれば、代理してくれる士業を紹介してもらえるのではないかと考えられます。

弊職も個人事務所なので、自分より年齢が若いかたの公正証書遺言作成をサポートする際は、東京都行政書士会板橋支部の自分よりも若い会員に、作成時の「証人」をお願いするなどして、遺言者やご親族と面識を持っていただくようにしております。

つまり、メガバンク系の信託銀行のほうが絶対に安心といえるのは、大震災や戦乱で、該当エリアの士業者の大半が死亡してしまい誰も紹介してもらえないようなレアなケースに限られるといえるのかもしれません。

億単位のご資産でも、こみいった内容のときは士業依頼も

ご資産が億単位で、ほぼひな型通りで構わないというかたは信託銀行の遺言信託が向いているといえます。
逆にご資産が数千万円で、さまざまなケースを想定した柔軟な内容の遺言にしたいというかたは、士業にサポート依頼するのがベストと考えます。

億単位お持ちでも、こみいった遺言をご希望であれば、士業者に依頼するほうがよいようです。

「××を姪の●●がしてくれた場合は姪の●●に。姪の●●が××をしてくれないのであれば、甥の●●に。甥の●●も××してくれなければ、■■財団に寄付する」

というような、何段階にも条件が折り重なった負担付遺贈のような形式をご要望の場合、信託銀行では「誰にあげるかの判断も含めてひとりにまとめられませんか」と言われてしまうかもしれませんし、可能であったとしても、そこに書かれた甥姪や財団担当者と綿密に話をしておいてもらえるかどうか定かでありません。

相続税の申告などが面倒だし生活に困っていないからと受け取り拒否された場合、ご遺産は国庫へいってしまいます。

こうした場合は、信頼できる、気の合う士業者を見つけ、“かかりつけ行政書士”としてなんでもご相談いただくほうが実現可能性は高くなります。

家族のための民事信託(=家族信託)や、福祉型の業務信託という選択も

なお遺言では、「わたしが死んだら、遺産を誰にあげる」という一段階の取り決めしかできません。

前項の例のように、あげるつもりだったAさんが先に亡くなったり、条件を満たさないときにBさんへ、という「予備的遺言」はできますが、「Aさんが使い切れなかったら誰それに」という二段階以上の要望は、伝えられません。

「Aさんにあげるが、使い切れなかったらBさんへ」など、多段階に使い道を指定したいとき。あるいは、賃貸不動産を保有していて建て替えやリフォームの指示が必要になるとか、運用資産が多く認知症になったあとも信頼できる誰かに運用を任せたいといった場合には、家族のための民事信託(通称、家族信託)や、福祉型の業務信託(ふくし信託株式会社)を利用されるのがよいです。

信託銀行は自社商品である「遺言信託」を売るのが仕事ですが、こうしたことまで含め、ニーズに即してアドバイスできるのが、信託銀行にはない個人士業の強みなのです。

×