1月の仙台講演(曹洞宗)は会場参加が20名程度でオンライン併用のハイブリッド開催でしたので、ほぼ2年ぶりに、100名の僧侶の皆さまと対面でお会いする機会となりました。近畿教区さまにとっても、研究会議のリアル開催は2年ぶりとのことでした。
大正大学BSR研究所による全国の寺院へのアンケート調査によれば、コロナウイルス感染防止の影響による葬儀への影響は、関西エリアでは関東ほど深刻でなく、2021年ごろにはほぼコロナ前と等しい規模で、多くの場合、会食のみ制限(弁当持ち帰り等)で行われている様子ではありました。
しかし実際に皆さまとお話ししてみると、やはり「月参りを2年断られているご家庭が多いので、先行きは不安」、「月参りが減れば、そのご家庭の様子もわかりづらくなるので、檀信徒との距離は開いてしまった気がする」など、爪痕は深く残ったようです。
今回は、「寺と法とお金~信心と経営の中道とは?~」と題し、お寺のハンコがなくても改葬許可証を発行する自治体が出現していることや、関東信越財務局により「墓地の使用契約書に収入印紙を貼っていますか?」というお尋ねが配布されたことなどから、寺院運営と信心のバランスについてお話ししました。
答えのない問題ではありますが、まずは「信心ありき」で、競争にさいなまれ気力を喪失している人々、生死のはざまで苦悩する人々に、仏法による視点の転換をお伝えいただくこと。
お寺へいけば、人生の苦悩のことは相談できる、という気運をつくっていただくこと。
そうすることで、「自分を看とってくれる親戚がいない」といった檀信徒さまからの相談も来るようになり、「墓をしまいたい(=離檀したい)です」と縁が切れておしまいになる代わりに、「私の最期を看とってください」という相談がじょじょに増えるであろうというストーリーをお伝えいたしました。