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これからのお墓ビジネス

“墓じまい”と寺離れの現状

都市部では、駅前徒歩数分の利便性高いお寺であっても、「500あった檀家が毎年数パーセントずつ墓じまいをしている」といった声を耳にします。
お寺の努力が足りないのではなく、日本の人口はすでに減少期に入っており、約35年後の2050年にはおよそ3000万人=「カナダ1国分の人口」が消えると言われているので、お墓の数も徐々に減るのが当然なのです。

囲い込むと、宗教は嫌われる

転勤や核家族化により、世代を経るごとに檀信徒は遠方へドーナツ化してゆきます。遠くへ離れてしまった檀信徒が、喜んでお寺の行事や墓参に来てくれるならいいのです。しかし、日頃の交流がなく墓参にもなかなか来ないのに、年間管理費と法要のお布施を半ば強要してつなぎとめようとしても、相手は「囲い込まれている」という感情しか持たくなり、やがて去ってゆきます。
檀家制度が順調に機能していた頃、「村の全員がその寺に所属しているからウチも所属」していたわけで、“囲い込まれた”という意識を持つ人はいなかったはず

宗教はそもそも、辻で説法するだけで「放っておいても人が集まる」ものです。
檀信徒の子孫がドーナツ化していくからには、葬儀法要だけのつながりで“つなぎとめ、囲い込む”のではなく、自然とこの寺へ足を運んでくれる新しい信徒をオルグし直していく必要があるのです。

墓地には、思想が必要

近年は、樹木葬墓地や芝生墓地など、自然を感じられるお墓の人気が高まっています。遺骨が完全に自然に還るイメージの散骨も人気です。
これらの傾向は、葬送儀礼のパワー、つまり葬儀を行う間に“あの世へ送られた”と感じさせる力が弱まっていることと関係があるように私は感じています。
要因は、われわれの側が功利主義と目に見えるモノばかり信じるようになって宗教意識が薄れたことにもあるでしょう。また、葬儀の担い手が寺社から葬祭ホールに移り、読経をBGMとしてしか扱わない葬儀社主導の葬儀にも原因があるかもしれません。世襲僧侶の中には、仏道を究めるというより「家業を継ぐために僧籍を取得した」という人がいる、という現実もあるでしょう。


さまざまな要因から、葬送儀礼のパワーが落ちていったと感じています。
その裏返しとしてわれわれは、自然の力に頼ろうとしているのかもしれません。石の墓に眠るより、少しでも早く自然の力で形なきものとしてもらいたい、と願うかのように。

つまり、これからの墓や葬送儀礼は、より荘厳で死生を感じさせるものでなければならないはずです。
自然の力を超え、あるいは自然の力を借りながら、“あの世と交信できる仕掛けのある墓”が必要とされているのです。

これからの墓地・納骨堂は、
契約内容の柔軟性がポイント

現存する石の墓地の多くは、明治後期~昭和半ば以降に建てられたものです。高度経済成長期には、「マイカー、マイホーム、次はお墓」と、家電三種の神器に続くハード三種の神器としてお墓が位置づけられていました。その頃、奮発してお墓を建立した昭和の企業戦士たちは、おそらく200年や300年はこの墓が利用されることを想定していたに違いありません。それが、わずか50年後のいま、「石のお墓は要らない」と言われ始めているのです。

葬儀や供養の方法は、上述してきたように、人々の観念の変遷に伴って変化します。目に見える荘厳な石で御霊を安置してほしいという願いよりも、自然の力に頼りたい傾向が強まれば、石の墓では不十分となっていくのです。

従来のように、「末代までの永代使用契約」ではなく、定期契約にすることも検討しましょう。「最後に眠った人の○回忌まで安置し、その後は永代供養スペースに改葬する」などとし、「○回忌」の部分を予算に応じて選べるようにするといった柔軟な対応も喜ばれるでしょう。
NPOや社団法人が生前契約を請け負うケースも増えています。しかし、それらの生前契約は事前に支払われる「一定額」で葬儀法要を行うので、柔軟性に欠けるところがあります。また、15年後になるか20年後になるかわからない葬儀の際に、予約当時の常識と同じ手段が選ばれるとは限りません。仮に、散骨が法的に認められていたとして、それが一番安価な方法になっていれば、希望していないのに散骨が選ばれてしまうということも考えられます。

宗教法人こそ、死後事務の担い手となるべき

契約者に身寄りがない場合、お寺自らが死後事務委任契約の担い手となれば、「○回忌まで」の部分は、残った資力に応じて勘案する、という、一般法人にはできない離れ業も可能となります。
契約者の好みや趣向、生きざまについても、世代を超えてご存じなわけですから、昨日今日契約したNPOや社団法人よりも「その人らしい葬儀」をクリエイトできるはずです。

お墓のニュービジネスには、魔の手がいっぱい

「住職が、搬送式納骨堂の契約書に捺印しようとしています! 危ない契約ではないでしょうか…」
副住職さまから、そうした相談が相次いでいます。

墓地の形態は多様化しています。墓地許可の主体である宗教法人は、いろいろある中からどのような墓をつくるべきなのか、つくりたいのか、ということを、日夜研究しなければなりません。

「いくら儲かる」という情報だけを鵜呑みにして、業者の言うままに契約書に捺印するべきではないのです。

以下、中外日報の「相談コーナー」(2015年6月12日付)で私がお答えした記事を紹介させていただきます。

■ご予算に応じ、寺院の経営分析、墓地の企画から契約書チェックまで、各種サポートをいたします。

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